「マイナビニュース」カテゴリーの記事一覧
インドの月探査機が地球周回軌道に帰還、将来のサンプル・リターンへの布石に
インド宇宙研究機関(ISRO)は2023年12月4日、月探査機「チャンドラヤーン3」の推進モジュールを、月周回軌道から地球周回軌道へ帰還させることに成功したと発表した。
チャンドラヤーン3は月面着陸を目的としたミッションで、今年8月に着陸機と探査車が着陸に成功した。推進モジュールはもともと、それらを地球周回軌道から月周回軌道まで運ぶ役割を担っていたが、余力が生まれたことで地球周回軌道への帰還が実現した。
ISROはこの運用を通じて得られた技術やノウハウを活かし、早ければ2026年にも、月の石を地球に持ち帰るサンプル・リターン・ミッションに挑む。
スペースXの「スターシップ」が2回目の飛行試験、“来年は100回飛行”の野望
イーロン・マスク氏率いる米宇宙企業スペースXは2023年11月18日、巨大ロケット「スターシップ」の2度目の飛行試験に挑んだ。
4月の初飛行では、離昇直後から問題が相次ぎ、宇宙にすら到達できず、発射台も大きく損傷するなど、不満足な結果に終わった。しかし今回は、計画どおりとまではいかなかったものの、機体やエンジン、発射台の完成度に明らかな、そして大きな進歩が見られた。
そしていま、3度目の飛行試験の準備も始まっている。数年のうちには年間100回の飛行を行い、月・火星への飛行に挑もうとする、人類史上最大のロケットの現状に迫る。
地下に広がる巨大空間 – 人類の根源に迫る実験施設「ハイパーカミオカンデ」
美しくも険しい山々に囲まれた岐阜県飛騨市神岡町。この地に、16万光年彼方の超新星1987Aから、謎だらけの素粒子「ニュートリノ」が降り注いだのは1987年2月のことだった。その様子は、山中に造られた実験装置「カミオカンデ」で捉えられ、「ニュートリノ天文学」の幕開けとなり、その成果は2002年のノーベル物理学賞に選ばれた。
さらに2015年には、より発展した「スーパーカミオカンデ」により、ニュートリノに質量があることが突き止められ、2015年のノーベル物理学賞に選ばれている。
そしていま、ニュートリノにまつわるさらなる謎と、そして素粒子物理学が直面している最大の謎に挑むため、新たな実験装置「ハイパーカミオカンデ」の建設が進んでいる。
インド、宇宙船の緊急脱出システムの試験に成功 – 有人宇宙飛行に向け一歩
インド宇宙研究機関(ISRO)は2023年10月21日、有人宇宙船「ガガニャーン」の緊急脱出システムの試験に成功した。
打ち上げ時に問題が置きたという想定で、飛行中のロケットから宇宙船を切り離し、無事に帰還できるかどうかが試験された。
インドは数年以内に有人宇宙飛行を行う計画で、今回の成功により実現に一歩近づいた。
金属でできた小惑星の謎に迫れ! NASAの探査機「サイキ」が打ち上げに成功
いまから171年前の1852年、イタリアの天文学者アンニーバレ・デ・ガスパリスは、とある大きな小惑星を発見した。彼はこの小惑星に、ギリシア神話に登場する女神にちなみ、「プシューケー(プシュケとも)」と名付けた。
その後の観測と研究で、このプシューケーは金属でできている、あるいは金属を比較的多く含む珍しい小惑星だということがわかり、地球のような惑星の中心部にある「核」が露出した状態で残っている天体だと考えられている。
そんなプシューケーに向けて、米国航空宇宙局(NASA)は2023年10月13日、探査機「サイキ(Psyche)」を打ち上げた。順調に行けば、2029年にはプシューケーに到着し、私たち人類は初めて“金属の世界”を目の当たりにすることになる。
ロシア、バイコヌール宇宙基地の「ガガーリン発射台」を資金不足で廃止か?
史上初の宇宙飛行士ユーリィ・ガガーリンが飛び立った、ロシア・バイコヌール宇宙基地の第1発射台、通称「ガガーリン発射台」について、ロシアが手放す意向を示した。
タス通信などロシア主要メディアが2023年10月14日に報じた。
同基地は、ロシアがカザフスタン政府に多額の賃料を支払い租借しており、手放すことでコスト削減を図る狙いがあるとみられる。また、ガガーリン発射台は新型ロケットの打ち上げに使うため改修が行われるはずだったが、資金難により進んでおらず、ロシアにとっては二重に負担となっていた。
ロシアはまた、カザフスタンに対してガガーリン発射台を博物館にすることも提案しているという。
ロシアの月探査機「ルナー25」の月面着陸失敗、原因はソフトウェアと結論
2023年8月に月面着陸に失敗したロシアの月探査機「ルナー25」について、国営宇宙企業ロスコスモスは10月3日、事故調査結果を発表した。
ソフトウェアの問題によって、着陸に向けた軌道変更に失敗し、墜落したと推定しているという。
ロスコスモスでは対策を施したうえで、科学成果の早期回復を目指し、2028年までに後継機を打ち上げたいとしている。
スペインの「PLDスペース」、欧州初となる民間宇宙ロケットの打ち上げを実施
スペイン発のロケット・ベンチャー企業「PLDスペース」は2023年10月7日、欧州初の民間宇宙ロケット「ミウラ1」の打ち上げを実施した。
宇宙空間には到達できなかったものの、目標としていた技術実証は果たした。
同社はミウラ1をもとに、小型衛星の打ち上げを目的とした「ミウラ5」ロケットの開発も進めており、早ければ2025年にも初打ち上げに臨む。
ついに打ち上げ! Amazonの衛星インターネット「プロジェクト・カイパー」
米Amazonは2023年10月7日、衛星インターネット・システム「プロジェクト・カイパー」の試作衛星2機の打ち上げに成功した。
地球のまわりに3000機を超える衛星を打ち上げ、全世界にブロードバンドを送り届けることを目的としたもので、今回の試作衛星による技術実証を経て、2024年末から初期サービスを開始するとしている。
衛星インターネットをめぐっては、イーロン・マスク氏の宇宙企業スペースXが「スターリンク」を運用し、すでに世界中にサービスを提供しているほか、米国内をはじめ世界各国で開発が活発になっている。Amazonの参入により、今後この分野での競争がさらに活発になりそうだ。
小惑星「ベンヌ」のかけらが地球に、「オサイリス・レックス」は新たな旅へ
太陽系をまわる小惑星のひとつ「ベンヌ」。太陽系の起源と生命の誕生にまつわる手がかりを秘めているかもしれない、そしていつかは地球に衝突するかもしれないこの天体に、米国航空宇宙局(NASA)の探査機「オサイリス・レックス」が舞い降りたのは、いまから3年前の2020年10月21日のことだった。
オサイリス・レックスはベンヌの地表から岩石を採取し、カプセルに詰め込んだ。そして2023年9月24日、そのカプセルを地球に送り届けることに成功した。これから地上の装置を使い、詳しい分析が始まることになる。
一方、オサイリス・レックスは「オサイリス・エーペックス」と名を変え、新たなミッションに向けて、地球をふたたび後にした。