標高2800mで宇宙を見つめ、研究者を育て……東京大学・乗鞍観測所が70周年
長野県と岐阜県にまたがる乗鞍岳。北アルプスの一角としてそびえつつも、「ハイヒールでも登れる3000m級」というキャッチコピーがあるほど訪れやすい山でもあり、開山シーズン中は多数の登山客、観光客であふれる。
その山上に、「東京大学宇宙線研究所附属乗鞍観測所」(当時は東京大学宇宙線観測所)が造られたのは、いまから70年前の1953年のことだった。宇宙から降り注ぐ高エネルギーの放射線――宇宙線や、その宇宙線を利用した素粒子物理学の研究施設として、また日本で初となる全国の研究者が誰でも利用できる研究施設として活用され、戦後の日本の宇宙線研究の礎を築き、多くの成果を生み出してきた。
現在の宇宙線研究は、放射線に加え、ニュートリノや重力波といった新たな分野が主流となり、より大規模な施設や海外の施設での研究が主となっているものの、乗鞍観測所はいまなお新しい研究に活用されている。