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ロシアのウクライナ侵攻、欧州のロケット打ち上げに大打撃 – その理由とは?
2022年2月24日に始まった、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。その背景で、欧州のロケットが大きな打撃を受けている。
すでに、ロシアから輸入している「ソユーズ」ロケットの打ち上げは中断。さらに、欧州製の小型ロケット「ヴェガ」やその後継機も、一部にウクライナ製のロケットエンジンを使用しており、その先行きには暗雲が立ち込める。
ソユーズやヴェガは、欧州の安全保障・防衛にかかわる衛星の打ち上げや、商業打ち上げで活躍。事態が長引けば、欧州の宇宙開発、ひいては世界の宇宙開発にも大きな影響を及ぼす可能性がある。
「フクロウの夜は続く」と銘打った、日本の宇宙企業Synspectiveの衛星が打上げ成功
日本の宇宙スタートアップ企業「Synspective(シンスペクティブ)」は2022年3月1日、同社にとって2機目となる小型地球観測衛星「StriX-β」の打ち上げに成功した。
StriX-βは、コンパクトながら高性能な合成開口レーダー(SAR)を搭載。毎日同じ地点の上空を通過し、昼夜や天候に関係なく地表を観測できることを特徴としている。
今後、2020年代後半までに衛星数を30機に増やし、地球全体を高い頻度で観測できるシステムの構築・運用を目指す。
月刊『軍事研究』2022年4月号
月刊『軍事研究』2022年4月号(ジャパン・ミリタリー・レビュー、3月10日発売)に、連載「最新世界の次世代ロケット」の第4回「ロシア編」を書きました。
「ソユース」、「プロトンM」などロシアの現行ロケットと、「アンガラー」など開発中の新型ロケットの、それぞれの現状と課題について解説しています。
ぜひお手に取ってご覧いただけますと幸いです。
ロシア、欧州の「ソユーズ」ロケット打ち上げを中断 – 欧州の宇宙開発に打撃
欧州のロケット運用会社アリアンスペースは2022年3月4日、ロシアと共同で運用していた「ソユーズ」ロケットの打ち上げを中断すると発表した。
欧州はこれまで、ロシアと協力し、ソユーズを使って欧州の衛星などを打ち上げてきた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻にともなう制裁措置に反発し、ロシア側が打ち上げの中断を一方的に決定。運用ができなくなった。
アリアンスペースは今回の事態を「大きな危機」とし、「現在の状況が引き起こす影響をできる限り正確に評価するとともに、必要な解決案を見いだす」としている。
世界最大の航空機「An-225」、ロシアが破壊か? その数奇な歴史と今後の影響
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻のなか、ウクライナのクレバ外務大臣は2022年2月27日、世界最大の航空機のひとつであるアントーノウAn-225「ムリーヤ」が、ロシアによって破壊された可能性があると発表した。
同機を運用するアントーノウなどは「専門家による調査を行うまで、機体の状態について発表できない」とし、断定を避けた。
An-225はその大きな輸送能力で、規格外の貨物や、大量の救援物資の輸送などで活躍。機体の状態や修理の可否によっては、今後の世界の物流などに影響が出る可能性もある。
スペースXのインターネット衛星「スターリンク」約40機、磁気嵐の影響で喪失
米宇宙企業スペースXは2022年2月8日、4日に打ち上げたインターネット衛星「スターリンク」49機のうち、約40機を喪失することになったと発表した。
打ち上げ直後で低い高度の軌道を周回していたところ、磁気嵐の影響で地球が暖められ膨張。衛星が周回していた高度の大気密度が上昇し、大気との抵抗によって大気圏に再突入してしまうためだという。
すでに一部の衛星は再突入しており、今後数日のうちにさらに多くの衛星が再突入するとしている。衛星は再突入時に燃え尽きるように設計されているため、軌道上に破片は発生せず、衛星の部品が地上に落下することもないとしている。
イーロン・マスクが「常識外れ」と語った、宇宙船「スターシップ」の開発
イーロン・マスク氏の宇宙企業、スペースXが開発中の巨大宇宙船「スターシップ」。火星移民を目指す、現代のノアの船である。
これまで高度約10kmまで飛行して着陸する試験が行われたのみだが、打ち上げに使うブースターの「スーパー・ヘヴィ」や、発射と着陸に使う施設などの開発も進み、宇宙へ飛び立つ日が着々と近づいている。
2022年2月11日、マスク氏はその開発の最新状況について明らかにした。はたしてスターシップはいつ打ち上げられるのか。そして人類は、いつ火星の大地を踏みしめることになるのだろうか。
国際宇宙ステーション、2030年まで運用へ – 廃棄処分と後継機はどうなる?
地球の上空約400kmを回る国際宇宙ステーション(ISS)。つねに約7人の宇宙飛行士が滞在し、地球や天体の観測、宇宙環境を利用した実験や研究などを行っている。
そんなISSも、建設開始からまもなく四半世紀を迎え、老朽化が進んでいる。その一方で、民間による地球低軌道における活動が活発になりつつある。
こうした事情を背景に、米国のバイデン政権は2021年12月31日、ISSを2030年まで運用する計画を発表。それを受け米国航空宇宙局(NASA)は2022年2月1日、2030年までのISSの運用と、その後の解体処分、そして民間による新たな宇宙ステーションの計画について明らかにした。
月刊『軍事研究』2022年3月号
月刊『軍事研究』2022年3月号(2月10日発売 、ジャパン・ミリタリー・レビュー )に、昨年11月に行われた、ロシアの衛星攻撃兵器による衛星迎撃試験に関する解説記事を書きました。
試験の概要から、各国による衛星攻撃兵器の開発・試験の現状、スペース・デブリ問題、今後の展望などについて解説しています。
ぜひお手に取ってご覧いただけますと幸いです。
火星の水、20億年前まであった? これまでの推定より約10億年長く – Caltech
カリフォルニア工科大学の研究者たちは2022年1月26日、火星探査機の観測データから、20億年前の火星に水があった証拠を発見したと発表した。
これまで、火星の水は約30億年前に蒸発したと考えられてきたが、それよりも約10億年長く存在し続けていたことになる。火星の水や、過去に生存していたかもしれない生物をめぐる謎に、新たな疑問を投げかけることになった。
成果をまとめた論文は、『AGU Advances』誌に掲載された。