2023年12月の記事一覧
ロケット・ラボ「エレクトロン」ロケット打ち上げ再開、QPS研究所の衛星を搭載
米宇宙企業ロケット・ラボは2023年12月15日、小型ロケット「エレクトロン」の打ち上げに成功した。
エレクトロンは9月に打ち上げに失敗しており、今回が失敗後初の打ち上げとなった。
ロケットには日本のベンチャー企業QPS研究所の小型地球観測衛星「ツクヨミ-I」が搭載されており、無事所定の軌道に投入された。
インドの月探査機が地球周回軌道に帰還、将来のサンプル・リターンへの布石に
インド宇宙研究機関(ISRO)は2023年12月4日、月探査機「チャンドラヤーン3」の推進モジュールを、月周回軌道から地球周回軌道へ帰還させることに成功したと発表した。
チャンドラヤーン3は月面着陸を目的としたミッションで、今年8月に着陸機と探査車が着陸に成功した。推進モジュールはもともと、それらを地球周回軌道から月周回軌道まで運ぶ役割を担っていたが、余力が生まれたことで地球周回軌道への帰還が実現した。
ISROはこの運用を通じて得られた技術やノウハウを活かし、早ければ2026年にも、月の石を地球に持ち帰るサンプル・リターン・ミッションに挑む。
スペースXの「スターシップ」が2回目の飛行試験、“来年は100回飛行”の野望
イーロン・マスク氏率いる米宇宙企業スペースXは2023年11月18日、巨大ロケット「スターシップ」の2度目の飛行試験に挑んだ。
4月の初飛行では、離昇直後から問題が相次ぎ、宇宙にすら到達できず、発射台も大きく損傷するなど、不満足な結果に終わった。しかし今回は、計画どおりとまではいかなかったものの、機体やエンジン、発射台の完成度に明らかな、そして大きな進歩が見られた。
そしていま、3度目の飛行試験の準備も始まっている。数年のうちには年間100回の飛行を行い、月・火星への飛行に挑もうとする、人類史上最大のロケットの現状に迫る。
地下に広がる巨大空間 – 人類の根源に迫る実験施設「ハイパーカミオカンデ」
美しくも険しい山々に囲まれた岐阜県飛騨市神岡町。この地に、16万光年彼方の超新星1987Aから、謎だらけの素粒子「ニュートリノ」が降り注いだのは1987年2月のことだった。その様子は、山中に造られた実験装置「カミオカンデ」で捉えられ、「ニュートリノ天文学」の幕開けとなり、その成果は2002年のノーベル物理学賞に選ばれた。
さらに2015年には、より発展した「スーパーカミオカンデ」により、ニュートリノに質量があることが突き止められ、2015年のノーベル物理学賞に選ばれている。
そしていま、ニュートリノにまつわるさらなる謎と、そして素粒子物理学が直面している最大の謎に挑むため、新たな実験装置「ハイパーカミオカンデ」の建設が進んでいる。